退職代行の「本当の価値」とは何か考える

「そちらの○○さんが退職されたいそうです。」

見知らぬ番号からの電話を出て10秒後、うちのスタッフが退職したい旨を知らされました。

淡々と事務的に退職の流れを説明する職員の声には、抑揚などありません。

そのままスタッフと一度も話すことなく退職が確定しました。

今回の記事は

• 現在、退職代行を使って会社を辞めようと考えている方
• 退職代行サービスを行っている事業者の方

このような方々に読んでもらいたいと思っています。

こちらの記事を読んで頂くと

• 退職代行を使用されている側の気持ちが分かる
• 退職代行サービスの本当の価値とは何かを考えるきっかけになる

このようなメリットがあります。

それでは早速、退職代行サービスについてご説明しましょう。

退職代行サービスとは？

文字通り、退職したいときに自分の代わりに、会社との退職のやりとりを代行してくれるサービスです。

労働環境が劣悪で、辞めたくても辞められず精神的にも追い込まれている方々への救済として、このサービスは存在しています。

退職代行サービスがあることで、救われた社会人も数多くいると思います。

その事実を否定するつもりはありません。

ですが私は退職代行を通して行う一連の流れに、大きな問題があると感じています。

「手軽な退職代行」になっていませんか？

今回退職したスタッフは、（後で分かったことですが）前回も退職代行を使っていました。

私が危惧しているのは、退職代行を使えば『簡単に面倒なく』辞めることができるため、その方のその後の仕事に対する意識や取り組みがおざなりになってしまうのではないかということです。

本来であれば、仕事を辞めるということはその人の人生にとって、非常に大きなターニングポイントになります。

このようなポジティブな退職が望ましい。

ですが、そうではなくて単に「仕事で嫌なことがあったから」とか「自分が想像していた仕事よりきついから」などの理由で仕事を辞めていませんか。

それは本当にもったいない。

これは決して会社を辞めるなと言っているわけではありません。

自分が成長できるチャンスを手放してはいけないと伝えたいんです。

退職とは何かを考える

会社を退職する場合、雇用主も自分も少なからず痛みがあります。

「退職届を提出するとき」

「引き留めるための話し合いのとき」

「退職が確定した後、辞めるまで働くとき」

気まずくなることも多々あります。

ですが、その手順を踏むことでお互い大きなメリットがあると私は考えています。

会社側は退職者と話を重ねることで、会社の問題点を把握することが出来ます。

退職者は会社側になぜ退職したいのかを説明することで、自分が次はどのような会社で働きたいのか再確認でき、次の仕事への意欲を高めることが出来ます。

せっかくのお互いが成長できる機会を大事にしてもらいたい。　

退職代行はお互いが成長できる可能性を奪っているのではないか？

それは今のまま、事務的にスパッと縁を切ってしまうようなやり方であればの話です。

私が担当者と話をしていたとき、どうして退職を決断したのか理由を確認しました。

　「なぜ退職したいかですか？分かりました、確認しておきますね。」

このとき私はこう思いました。

『あなたは退職の理由も聞かずに電話してきたんですか？』

『今回、新人を迎え入れるにあたって教育係が昼休みを何日も削ってまでスケジュールを組んだことをあなたは知ってますか？』

『新人が先輩と馴染めるように、常にともに行動し、ときには厳しいことも言って教育していたことを知ってますか？』

『「NIPO」というアプリを使用して、毎日何を教えたのか、どういった課題が残ったのかを勤務外にも関わらず誰に言われるでもなく、新人のためを思って私に報告してくれたことを知ってますか？』

『突然退職が決まったとき、「すみません、私の責任です。」と謝ってきたことを知ってるますか？』

このような感情が溢れてきました。

お互いが意味のある退職にしたかったなと今でもそう思っています。

退職代行に私が今、求めること

まずは退職する方に対して、なぜ退職したいのかしっかりヒアリングをしてください。

中には、あまりにも過酷な環境のため自分の力では退職出来ず困っている人もいるでしょう。

退職代行を頼って、電話をかけてきてるんだと思います。

それならその人の今後の人生も考えて、深くヒアリングもしてください。

なぜ退職したいのか、次はどうしたいのか、今後生活していくあてはあるのか、そこまで聞いてあげてください。

そこで話したことが、次の転職に生きる可能性もあります。

そしてヒアリングしたことを会社側にしっかりと伝えてください。

人間関係の問題や、組織としての不信感、福利厚生の問題など理由は様々だと思いますが、会社として成長するためには必要なアドバイスです。

そうすることで退職代行サービスは、本当に価値のあるサービスになると私は考えています。

最後に退職代行業者の方々に提案です

『料金を上げませんか？』

『その代わり付加価値をつけませんか？』

『退職したあとの、転職支援サービスを充実させませんか？』

退職したい理由をしっかりとヒアリング出来ているなら、転職支援も十分に行えるはずです。

もしかしたらそういう試みをしている企業もあるのかもしれませんね。

そういう素晴らしい企業が増えることを心から望んでいます。

今回は自分の想いを伝えるだけの記事になってしましました。

ここまで記事を読んでくれてありがとうございます。